食中毒も後遺症が残ることがある!歩行困難や死亡事例まで
2018/08/23
食中毒も軽症であれば吐き気や嘔吐だけで、時間が経てば治ることが多いでしょう。
しかしそんな食中毒にも後遺症が、残ることもあります。
食中毒の後遺症には歩行困難や死亡事例もあり、たかが食中毒と侮らないほうが良さそうです。
食中毒も後遺症が残ることがある!
食中毒の後遺症として、カンピロバクターによるギラン・バレー症候群と、病原性大腸菌O-157による溶血性尿毒症症候群があります。
どちらの後遺症も重症の場合は、死亡することがある恐ろしい病気です。
カンピロバクターによる食中毒の後遺症
カンピロバクターは、細菌の一種です。
ウシやニワトリ、ブタ、ヒツジなどの家畜をはじめ、イヌやネコ、トリなどのペットまで、多くの動物に生息しています。
カンピロバクターは、十分に加熱すれば死滅するので、食中毒を防ぐのは、それほど難しくありません。
カンピロバクターで食中毒になった事例としては、好んで生肉もしくは半生肉を食べた場合か、過熱の不十分な生焼け肉を食べた場合です。
さすがに豚肉は生で食べる人はいないと思いますが、牛肉や鶏肉は生もしくは半生で食べる人がいます。
しかしそのような食べ方には、カンピロバクターによる食中毒の危険があることを知っておきましょう。
カンピロバクターによる食中毒の症状は、下痢や腹痛、頭痛、発熱、筋肉痛、倦怠感、めまいなどがあります。
カンピロバクターは潜伏期間が1日~7日と比較的長いことと、症状が風邪の初期症状と似ていることから、食中毒だと気が付かないケースも多いようです。
そして食中毒の症状が治まった後にやってくるのが、食中毒の後遺症であるギラン・バレー症候群です。
ギラン・バレー症候群は、急に手足に力が入らなくなる神経系の病気です。
ギラン・バレー症候群の発症確率は、10万人あたり年間1~2人程度ですので、それほど高くはありません。
しかしギラン・バレー症候群は、はっきりした原因が解明されておらず、難病指定されている病気です。
今のところカンピロバクターが発症のきっかけとなり、免疫システムに異常が生じて運動神経に障害を起こしてるという説が有力です。
ギラン・バレー症候群も、全ての人に後遺症が残るわけではなく、ほとんどの人は問題なく回復します。
しかし一部重症の患者は死亡する危険や、歩行困難などの後遺症が残るこことがあります。
病原性大腸菌O-157による食中毒の後遺症
病原性大腸菌O-157は、ベロ毒素を作り出す大腸菌の一種です。
O-157には感染力が非常に強いという特徴があり、体内に100個程度の菌が入っただけで、食中毒を引き起こします。
O-157は熱に弱いので、十分に加熱調理すれば、食中毒を防げます。
過去のO-157の感染例を見ると、生レバーや生センマイなど加熱していない食品を食べて、感染してるケースが多いです。
またO-157が感染しても、免疫力の強い成人では症状が出なかったり、軽い症状で済むことが多いです。
重症化するケースで多いのは、抵抗力の弱い子どもや高齢者が感染した場合です。
O-157は潜伏期間が2~9日と比較的長く、最初は下痢や腹痛、吐き気、嘔吐などの症状が出ます。
その後出血性大腸炎が発症し、激しい腹痛と出血性の下痢が出ます。
そしてその後に、O-157による食中毒の後遺症として、溶血性尿毒症症候群が起きることがあります。
これはO-157が作り出すベロ毒素が、血液中に取り込まれて、血球や腎臓の尿細管細胞が破壊されることが原因です。
溶血性尿毒症症候群にかかると腎臓の機能が低下し、腎性高血圧になり血圧が上昇します。
すると高血圧が原因の脳出血などの疾患に、かかりやすくなります。
実際に1996年に堺市で起きたO-157の集団食中毒に、小学1年生の時に感染した女性が、19年後に腎性高血圧を起因とする脳出血で亡くなられています。
19年間も通院して治療を続けていた事を考えると、とてもいたたまれない事故です。
まとめ
食中毒は重症の場合は、後遺症が残ることがある。
カンピロバクターによる食中毒の後遺症は、ギラン・バレー症候群を発症し、歩行困難などの症状が残ることがある。
病原性大腸菌O-157による食中毒の後遺症は、溶血性尿毒症症候群を発症し、腎性高血圧を起因とする疾患にかかりやすくなる。