味噌汁でも食中毒になる?過熱で死なない食中毒菌にご注意!
2018/08/18
味噌汁が余ってしまったら、そのまま放置して次の日に温めなおして飲む。
こんな人は、多いのではないでしょうか。
しかし味噌汁も、食中毒の危険があります。
加熱しても死なない、食中毒菌にご注意下さい!
味噌汁でも食中毒になる?

梅雨から夏にかけては、食中毒が多発する季節になります。
多くの方が、卵やお刺身などの生物は、取り扱いに注意されるのではないでしょうか。
その反面、味噌汁など加熱調理したものは、熱で殺菌ができているはずだと、油断する方が多いのです。
確かに一般的に知られている食中毒菌は、その殆どが熱で死滅します。
代表的なものにサルモネラ菌や、病原性大腸菌O-157、黄色ブドウ球菌などがあります。
しかし、加熱しても死なないウェルシュ菌という細菌が存在します。
ウェルシュ菌の特徴は高温下において、芽胞というカプセル状の硬い殻を作って休眠状態となることです。
ウェルシュ菌はこの硬い殻で身を守り、加熱されても生き残ることができます。
その後、温度が下がってくると、ウェルシュ菌は休眠から目覚めて、活動を再開します。
他の細菌は加熱により死滅しているので、ウェルシュ菌は他の細菌に増殖を邪魔されることもありません。
またウェルシュ菌は酸素がない場所のほうが増殖しやすい、という特徴もあります。
味噌汁を加熱して煮込むことにより、酸素はどんどん追い出されていきます。
そうすると味噌汁の中は、ウェルシュ菌が繁殖するのに絶好の環境となっているのです。
また味噌汁を常温で長時間放置すれば、その他の細菌も繁殖する危険はあります。
それらの細菌は再加熱することで、殺菌できるかもしれません。
しかし問題は、その細菌が作り出した毒素です。
過熱で細菌自体が死滅しても、味噌汁内には毒素がそのまま残っています。
その毒素の入った味噌汁を飲んで、食中毒になってしまうこともあります。
味噌汁の食中毒を防ぐにはどうすればいいか
前述したとおりウェルシュ菌は、再加熱しても死滅しません。
ウェルシュ菌を死滅させるには、180℃で30分以上の過熱が必要になります。
普通の調理方法では、ウェルシュ菌を殺菌することは難しいのです。
味噌汁の食中毒を防ぐには、調理後の味噌汁を常温放置しないことです。
ウェルシュ菌が増殖しやすいのは、20℃~55℃の温度帯です。
味噌汁を冷蔵庫に入れて低温保存することで、ウェルシュ菌の増殖を防ぐことができます。
ここでのポイントは冷蔵庫に保管するときは、味噌汁をなるべく小分けにすることです。
小分けにしないと味噌汁が冷えるまでに時間がかかり、その間にウェルシュ菌が増殖してしまうことがあります。
また味噌汁をよくかき混ぜて、酸素を混ぜるのも有効です。
ウェルシュ菌は水中や土壌など、自然界のいたるところに生存しています。
いろいろな野菜や、牛、豚、ニワトリなど家畜や魚の腸内にも存在しています。
ですから我々が食べるいろいろな食材に、付着している可能性があります。
これらの食材をキレイに洗ったつもりでも、どこかにウェルシュ菌が残っている可能性があります。
ウェルシュ菌は少量であれば、食中毒は引き起こしません。
ですから気をつけるポイントは、加熱調理後に常温放置して、爆発的に増殖するのを防ぐことなのです。
もっと安全を考えるなら、食べる分だけをきちんと計量して作り、味噌汁を余らせないことです。
全部食べてしまえば、食中毒の心配もなくなります。
味噌汁は時間が経つと、風味が飛んで不味くなります。
美味しい味噌汁をいただくためにも、そのほうがいいのではないでしょうか。
まとめ
加熱しても死滅しないウェルシュ菌で、常温放置した味噌汁は食中毒の危険がある。
ウェルシュ菌は、過熱後の常温放置で増殖するので、余った味噌汁は常温放置しないようにする。
できれば作り置きせずに、計量して食べる分だけ作り、余らせないようにする。