食中毒は空気感染するのか?二次感染を防ぐための対策まとめ
2018/08/20
家族など身近な人が食中毒になった時に、気を付けなければならないのは二次感染です。
ノロウィルスは空気感染すると言いますが、これは本当なのでしょうか?
ここでは食中毒の空気感染など、二次感染の対策についてまとめています。
食中毒は空気感染するのか?
結論から言いますと、ほとんどの食中毒は空気感染しません。
しかしノロウィルス感染症に関しは、空気感染することがあります。
ノロウィルスの場合は空気感染の他にも、接触感染、飛沫感染の感染経路があります。
まずはこれらの感染経路について、それぞれ確認していきます。
食中毒の接触感染とは
接触感染は病原体が付着している物に、直接触れる事によって起きる感染です。
ノロウィルス感染症などの食中毒の場合は、感染者の嘔吐物や便などに食中毒菌が付着しています。
これに触ってしまうとそこから、食中毒菌に感染します。
食中毒の飛沫感染とは
飛沫感染とは、食中毒に感染している人の下痢便や嘔吐物が、飛沫となり舞い上がり、それを吸い込むことで感染します。
例えばノロウィルス感染症の人が、勢い良く嘔吐したときにそばにいた場合や、下痢便をした後のトイレを使用した場合などがあります。
飛沫感染はノロウィルスの二次感染としては、比較的多い感染経路になります。
この場合の飛沫というのは水分を含んでおり、直径5マイクロメートル以上と、比較的大きな粒子となっています。
そのためある程度の重さがあり、飛散距離はそれほど長くありません。
飛沫感染のおおよその感染範囲は、半径1メートル以内となっています。
食中毒の空気感染とは
空気感染は飛沫感染よりも、より小さく軽い粒子となって、病原体が空気中を漂います。
これが他人の体内に侵入して、食中毒が感染します。
病原体の粒子は水分がない状態や、埃や塵などに付着した状態で、空気中を漂います。
空気感染はそのため感染範囲も、飛沫感染よりも広範囲となります。
ノロウィルスもかつては、飛沫感染までで空気感染はしないと、考えられていました。
しかし、実際に起きた感染事例を調査する中で、空気感染しか説明の付かない事例が出てきたのです。
それは、ノロウィルス感染症患者が嘔吐した際に、嘔吐物を適切に処理しなかったために起こりました。
感染者はカーペット上に嘔吐をして、カーペット内に、ノロウィルスが大量に残存してしまったのです。
その後、ノロウィルスが埃として舞い上がり、それを吸引してしまった人に感染したのです。
ノロウィルス感染症の二次感染を防ぐには
ノロウィルスは非常に感染力が強く、家族など身近な人間が感染した場合、かなり高い確率で二次感染を引き起こします。
前項で解説したようにノロウィルス感染症には、接触感染、飛沫感染、空気感染の3つの感染経路が考えられます。
ノロウィルスの二次感染を防止するには、嘔吐物や便などを適切に処理することが重要です。
嘔吐物や便を処理するときは、接触感染や飛沫感染を防ぐために、マスクや手袋、ガウンなどを着用して下さい。
これらは全て再使用せず、使い捨てするようにします。
次に布やキッチンペーパーなどで、汚物を拭き取ります。
このとき汚物が飛散しないように、静かに拭き取るようにして下さい。
その後ウィルスが残留して、空気感染するのを防ぐために、次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度約200ppm)で殺菌します。
ノロウィルスはアルコールでは殺菌できないので、必ず次亜塩素酸ナトリウムを使用して下さい。
ノロウィルスを殺菌する場合は、次亜塩素酸ナトリウムを浸すようにして、床を拭き取ります。
その後は、水拭きをしておきましょう。
汚物を拭き取るのに使用したものは、全てビニール袋に密閉して捨てて下さい。
この時ビニール袋の中にも、次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度約1,000ppm)を入れて、廃棄物がじゅうぶん浸るようにします。
消毒は次亜塩素酸ナトリウムを含む、家庭用の塩素系漂白剤で代用することもできます。
空気感染を防ぐには、部屋の換気を行うことも重要です。
この時には空気の流れに注意して、ウィルスが屋外に出て行くようにします。
その他には、お風呂で同じ湯船に浸かることで、二次感染する可能性があります。
ノロウィルス感染症の方はシャワーだけで済ませるか、一番最後に入浴するようにして、その後湯船のお湯は全て捨てましょう。
まとめ
食中毒はほとんどが空気感染しないが、ノロウィルス感染症は空気感染する。
ノロウィルス感染症は接触感染、飛沫感染、空気感染の3つの感染経路で、二次感染する可能性がある。
ノロウィルス感染症の二次感染を防ぐには、感染者の嘔吐物や便を、適切に処理することが重要である。