ワキガは子供に遺伝する?手術すべき?他に対策はあるのか?
2019/07/25
親がワキガの場合に、子供に遺伝しないかについて、まとめています。
また子供がワキガになってしまった場合に、手術をするべきかや、その他にできる子供のわきが対策についてまとめています。
ワキガは子供に遺伝する?

ワキガが子供に遺伝するかですが、両親がワキガの場合は、子供がワキガになる確率は、かなり高くなります。
ワキガが子供に遺伝する確率は、父親か母親のどちらかがワキガの場合は約50%、父親と母親の両方がワキガの場合は約80%となります。
片親がワキガ 50%
両親がワキガ 80%
これはワキガが遺伝するというより、ワキガになりやすい体質が子供に遺伝すると、言ったほうが正しいかもしれません。
ワキガになるかならないかは、汗の質が関係しています。
人間の汗はアポクリン汗腺、エクリン汗腺、皮脂汗腺という3つの汗腺があり、そこから分泌される液体が混ざりあったものが、汗となります。
この3つの汗腺の中で、腋臭に一番関係しているのが、アポクリン汗腺です。
アポクリン汗腺から分泌される汗には、タンパク質、脂質、糖質、アンモニアといった成分を、豊富に含んでいます。
そして人間の肌表面には常在菌という、多種多様な細菌が住み着いています。
常在菌は人間の体に、危害を加えるものではありません。
むしろ、外部から侵入した病原性の細菌の増殖を、抑制する働きがあります。
しかし、アポクリン汗腺から分泌されたタンパク質、脂質、糖質、アンモニアなどの成分は、肌の常在菌のエサとなり、分解されます。
この時に発生するニオイが、腋臭の鼻をつくツンとした臭の正体です。
つまりワキガが発症しやすい体質というのは、アポクリン汗腺の量が多い人なのです。
そしてアポクリン汗腺の量というは、遺伝子によって決まります。
ワキガは優性遺伝するため、親がワキガの場合は、子供に遺伝する確率が高くなるのです。
子供のワキガは手術すべき?
子供にワキガが遺伝してしまった時、手術をして治すべきかと、迷われる方も多いのではないでしょうか。
しかし子供のワキガの手術は、失敗したり再発することもあります。
また傷跡が残るというデメリットも考え、慎重に判断しなければなりません。
保険適応となるワキガの手術としては、ワキガの原因となるアポクリン汗腺を除去する手術が、主流となります。
これは脇を直接切開して手術を行うため、当然脇には傷跡が残ります。
将来どんな人生を送るかも分からない子供のうちに、手術の傷跡を残してしまうのはどうでしょうか?
女の子であれば、脇が見えるようなおしゃれな服装ができないと、悩む事があるかもしれません。
またアポクリン汗腺を除去しても、再生することでワキガが再発することがあります。
人間の体は自然治癒力により、失われた組織を再生する能力があります。
例えば肌を擦りむいたとしても、しばらくすれば新しい肌が再生されてきます。
これと同じようにアポクリン汗腺も、一度除去しても再生してしまえば、またワキガが再発するのです。
特に成長過程である子供は、アポクリン腺がまだ発達しきっていない可能性があります。
アポクリン汗腺は、思春期くらいの第二次性成長期に、一気に増加します。
つまりそれ以前の子供がワキガの手術をしても、成長によりアポクリン汗腺が発達することで、ワキガが再発してしまうのです。
子供のワキガの手術で、それ以外の問題点は、術後臭というものがあります。
これは脇のアポクリン汗腺を除去することで、体の他の部分にあるアポクリン汗腺が、活性化することで起こります。
つまり、今まで脇のアポクリン汗腺から出ていた汗が行き場を失い、体の他の部分にあるアポクリン汗腺から、大量の汗が出るようになってしまうのです。
それにより体の他の部分から、ニオイを発するようになって、体臭がきつくなってしまうのです。
もちろん、ワキガの手術をしたほうがいい子供も、いるかもしれません。
しかしその場合でも、上記のようなデメリットが有ることを念頭に置いて、主治医とよく相談してから決めてください。
子供のワキガ対策
子供のワキガを対策する方法について、いくつか紹介したいと思います。
手術に踏み切る前に、ここで紹介する方法を試してみてはいかがでしょう。
ミョウバン水
ミョウバンは正式には、硫化カリウムアルミニウムといいます。
料理をする方なら知っているかもしれませんが、色落ち防止、アク抜き剤、煮崩れの防止、膨張剤として使われます。
スーパーや薬局などに、売られています。
ミョウバンには殺菌作用、消臭作用、制汗作用があるので、脇にミョウバン水を塗ることで、ワキガの対策になります。
市販の制汗スプレーなどにも、ミョウバンが使われているものがあります。
ミョウバン水を作る時は、スーパーなどに売られている安い「焼きミョウバン」でかまいません。
焼きミョウバンは、だいたい1袋100円くらいで売られていおり、漬物コーナーや調味料コーナーに置いてあります。
ミョウバン水は、水500mlにミョウバン15gの割合で混ぜて作ります。
ミョウバンは水に溶けにくいので、一晩ほど放置してよく振ってください。このミョウバン水を原液として、水で10倍に薄めて脇に付けます。
ミョウバン水の原液は冷蔵庫に入れておけば、1か月くらいは保管できます。
しかし500mlだと多いという方は、水100mlにミョウバン3gなど、自分に必要な量に調整しましょう。
ただしミョウバン水は、効果があまり持続しないため、一日に数回塗らなければいけません。
子供の場合は学校にミョウバンスプレーを持たせて、自分で脇に付けさせなければなりません。
友達にミョウバンスプレーを見られれば、これは何だと問い詰められるかもしれません。
大人なら上手くごまかせるかもしれませんが、子供だと逆に辛い思いをさせることになるかもしれません。
またミョウバンにはアルミニウムが含まれており、その毒性が気になるという声もあります。
一応皮膚からは、アルミニウムは吸収されないという見解もあるようですが、アルミニウムの安全性に関しては、やや不透明な部分もあります。
気になる方は、厚生労働省のアルミニウムに関する情報を御一読ください。
ミョウバンスプレーやミョウバン石鹸などの商品も、市販されています。
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自分でミョウバン水を作るのがめんどくさい人は、こういった商品を利用してもいいですね。
安全なワキガ対策グッズを使う
ワキガ対策グッズも技術が進歩しており、かなり効果の期待できる物もあります。
特に効果の持続時間に関しては、朝と夜の2回だけ塗ればOKという物もあります。
これなら朝塗っておけば、学校で塗り直しする必要もありません。
制汗スプレーやデオドラントクリームなど色々ある中から、ワキガ対策グッズを選ぶポイントは、肌が弱い子供が使うことを考えて、肌に優しい無添加で天然成分から作られた、低刺激のものを選ぶことです。
例えば、市販の制汗スプレーなどのワキガ対策グッズは、合成香料・紫外線吸収剤、銀やニッケルなどの金属が使われているものがあります。
このような商品は、肌荒れを起こす原因になるので、肌の弱い子供には不向きです。
また制汗スプレーで脇を乾燥させることで、ワキガを悪化させてしまうこともあります。
肌は乾燥すると、バリア機能が弱まってしまいます。
肌はそれを補うために、余計に汗や皮脂を分泌するようになり、これが重度のワキガへと悪化させてしまうのです。
脇の下を強く擦らない
ワキガの人ほどニオイが気になるあまりに、脇の下が汚れているのではないかと思って、脇の下を強く擦って洗ってしまう人がいます。
脇の下を強く擦れば擦るほど、脇の下のバリア機能は弱まり、雑菌が繁殖しやすくなります。
お風呂で脇の下を洗う時は、手に石鹸を付けて、優しく洗い上げるようにします。
弱酸性の石鹸を使うと、雑菌が繁殖しにくくなります。
健康な人の肌は弱酸性であり、アルカリ性に傾くと、雑菌が繁殖しやすくなります。
まとめ
ワキガになりやすい体質の人は、アポクリン汗腺の量が多い人である。
アポクリン汗腺の量は遺伝で決まるので、子供にワキガが遺伝する確率は高い。
子供のワキガの手術は、失敗や再発、傷跡が残るなどリスクが有ることを考慮して、主治医とよく相談してから決める。
アポクリン汗腺は第二次成長期に増加するので、それ以前の子供が手術しても、ワキガが再発する可能性が高い。
手術以外の子供のワキガ対策には、ミョウバン水、安全なワキガ対策グッズを使ったり、脇の下を強く擦らないようにすることがある。